このレポートは、「学びの時間」の中で行ったスーパーバイズの内容の一部をまとめたものです。
(「学びの時間」とは、NPO法人クリオネの家が会員向けに行っている勉強会です。)
感情の構造を理解する
人の認知は、良くも悪くも、その人の感じ方や考え方の影響を受けています。
どんな事実があったと感じているのか?
その事実をどう感じたのか?
これが感情をつくりだしている源泉ですが、感じ方に大きな影響を与えているのが前頭葉。
その前頭葉の特徴は
・湧き上がった情動を感情として処理する働きがある
・生活習慣の影響を受け、機能低下を起こしやすい
・20歳ぐらいまで発達を続けていく
睡眠が十分にとれていないと、前頭葉の機能は低下します。
しっかり寝ているつもりでも、
・寝起きが悪い
・前日の疲れがとれていない
・朝食を食べる元気が出ない
このような状態にあるときは、眠りの質が悪くなっている可能性があります。
寝る前の過ごし方を、意識して改善してみる必要があるかもしれません。
特に子どもは、これから前頭葉が発達していく段階にあります。
常に前頭葉を介さない情動的な反応が起こりやすい状態です。
これは、大人が寝不足で感情のコントロールがうまくできないときと同じような状態でもあります。
寝ているからいいということではなく、睡眠の質に目をむけて、いい睡眠がとれる環境を整えることも必要です。
眠りの質を良くするコツは、緊張をほぐしてから布団に入ること。
眠りにつきたい時間から逆算して、1時間前ぐらいまでには「食べる・見る・激しく動く・考える」を、終わらせておくことで、眠りの質が良くなっていきます。
そして、前頭葉の働きを維持することは、感情のマネジメントにもつながります。
情動を感情として捉えることができるようになると、
怒りの構造や不安の構造、悲しみの構造を理解したうえで、対策を練ることができるようになっていきます。
感情の構造を理解する例題
欲求:大切にされたい尊重されたいと心の中で思っているから
感情1:その思い通りにならないことに怒りが湧き
行動A:周囲から大切になる人になる努力をしようと考えてみたけれど
感情2:あ~なんか腹が立つとイライラが止まらない
この感情の構造は、
- 感情1と感情2は別の感情であるけれど、どちらもの怒りであるため区別がしづらい
- 行動Aの考えを実行するのを邪魔する気持ちは、普段意識できていないことが多いため、感情2が実行するのを邪魔する気持ちだと思いがち
- 感情2は葛藤する心を安定させるための適応反応である可能性が高い
- そのように考えると、行動Aの考えを実行するのを邪魔する気持ちは、「今さら変わるのは恥ずかしい」「できる自信がない」といったものが潜んでいる可能性がある
まとめると
- 怒りの対処のために行動しようと思っているが、その行動に対してよいイメージが持てないために、身動き取れずに苦しくなり、その心の状態を安定させるため、相手を攻撃する適応反応が出ている
このように考えることができます。