このレポートは、「学びの時間」の中で行ったスーパーバイズの内容の一部をまとめたものです。
(「学びの時間」とは、NPO法人クリオネの家が会員向けに行っている勉強会です。)
支援者として陥りやすい心理
誰かを支援する(サポートする)立場になったときの心理として
「支援者としての想いで相手を支援したくなる」というものがあります。
何の想いもなく、誰かを支援(サポート)するということは、実際にはほとんどないことです。
しかし、この想いが心にブロッキングを生み出し、相手の想いを聴くことを妨げてしまいます。
そして、
- 相手が話してくれたことの中から、自分が必要だと思うことだけを聞き取り
- 「そんなことしてれば、こうなってしまうでしょ」という想いに突き動かされ
- 支援者の「こうあるべき」で相手を変えようとしたくなる
このような感じになってしまいます。
これは、誰にでも起こる可能性のあることです。
では、誰かを支援する(サポートする)立場になったときに、このリスクをどのように回避すればいいのでしょうか?
その方法として考えられるのは、
- 自分のサポート姿勢を振り返る時間をつくること
日記に記しておいてもいいし、スーパーバーズ(コンサル)を受けてみてもイイと思います。
- スキルを磨くこと
自分の想いを脇に置き、相手の想いを聴くのは簡単なことではありません。
日々、どれだけ意識的に話を聴くことをしているかで大きな差が生まれます。
私たちの中には、ブロッキングの基となるたくさんの判断基準が存在します。
・社会的規則や社会的文脈に基づいて構成された判断基準(コンテキスト)
・「こんなことが起こったらこうしよう」というような、台本のような判断基準(スクリプト)
・自分の体験をもとにつくられた、思い込みのような判断基準(素朴理論) など
判断基準は、必要な行動の選択を助けます。
そして、さまざまな経験をしている人ほど、幅広く、深みのある判断基準を持っています。
これが、経験豊富な人の臨機応変さを生み出しているのです。
それなのに、同じ判断基準ばかりを使うことが増えてしまうと、
1.「こうあるべき」という基準から物事を見るようになり
2.臨機応変を苦手とするようになり
3.自分の想いだけで行動してしまい、気持ちが空回りすることが増えてしまう
このようなことになる可能性が高まってしまうのです。
ブロッキングは、無くすことはできません。
しかし、ブロッキングに気づくことができれば、コントロールできる可能性が高まります。
自分の思考パターンに気づくことは、簡単なことではありません。
だからこそ、気づくことができたとき、新たなステージでの誰かを支援する(サポートする)を体現できるようになっていくのです。
難しいと感じることができるなら、
自分にとって必要なことだと感じることはできています。
あとは、一歩踏み出す勇気だけ。
動き出すモチベーションをつくるのは
「シンプルで、何をやればいいのかわかる」こと。
小さな一歩が決まったら、その一歩を踏み出しておきましょう。