被害者意識とセルフケア行動 学びのレポート2025.06.21

このレポートは、「学びの時間」の中で行ったスーパーバイズの内容の一部をまとめたものです。

(「学びの時間」とは、NPO法人クリオネの家が会員向けに行っている勉強会です。)

被害者意識と無関心期

セルフケア行動とは、自分自身のためにするケア行動のこと。

今起こっている不具合を解消するために、何かしようとするのもセルフケア行動です。

しかし、新しい行動を取り入れないと、ケアにつながらないこともあります。

 

その「セルフケア行動の変化ステージ」は5段階。

  • 無関心期 行動を変えることに関心が無い
  • 関心期  行動を変えることに関心はある
  • 準備期  新しい行動を起こす気になっている
  • 実行期  新しい行動を起こしている
  • 維持期  新しい行動が習慣化してきている

 

そして、海外にはこんなことわざがあるそうです。

「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」

―You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.―

 

行動する気の無い相手に、何かをさせるのは難しいと言うことなのですが…

 

 

カウンセリングをしていると

・「周りに変わってほしい」

・「周りに変えてほしい」

でも、周りがやってくれない。

どうしたらいいのだろうか?

 

このような相談は、少なくありません。

 

そして、話の中身の多くは

・私は被害を受けている

・周囲が行動を変えるべき というものです

 

話の中に出てきた人たちが、どの変化ステージに居るのかはわかりません。

 

しかし、

「自分から何かをしてみたらどうですか?」

丁寧にこのような提案をしてみると、

 

何かをした方がいいのかもしれないけれど…と

わかっているようではあっても、

 

「ムリです、私にはできません」

「なんで私がやらなきゃいけないの?」

 

このような反応が返ってくる。

 

このような話をする方の多くは、

話をしている本人が「無関心期である」可能性が高いのです。

 

 

このようなとき、あなたならどうしますか?

 

 

自分が何かをする気がないのに、どうやって現状を変えていこうというんだろう?

カウンセラーの私に何かをしろというのかな?

 

こんな疑問が出てきてしまうかもしれませんが…

 

 

このような時こそ

カウンセリングの基本に立ち戻って、

「相手を変えようとせずに、わかろうとする」

 

これを徹底することです。

 

・大変だね

・そんな中にいたらつらいよね

 

とにかく肯定的に受け止める。

 

 

これができれば、相談しに来た人の心に、こちらの話を聞く余地が生まれます。

 

そして、

話を聴いてそのまま終わりでもいいかもしれませんが

せっかく話を聞かせてもらったのならそのお返しに、

 

相手を指摘するような言い方ではなく

「そんなとき、○○をされている方が多いようですよ」

このような感じの一般論としての情報提供をしてみましょう。

 

「やろうかな」「やってみようかな」

こう思ってもらえることがひとつでもあったなら、

「無関心期の人」が「関心期の人」へ、ステージ変化を果たせています。

 

人は誰かに変化させられるのを嫌います。

 

自分から「やろうかな」「やってみようかな」

そう思えるような情報提供もできようになっていきたいですね。

(星野伸明)

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