メタ認知能力とハラスメント 学びのレポート2025.05.17

このレポートは、「学びの時間」の中で行ったスーパーバイズの内容の一部をまとめたものです。

(「学びの時間」とは、NPO法人クリオネの家が会員向けに行っている勉強会です。)

メタ認知能力を鍛えよう

冷静になって自分の心と向き合うことができれば、

私は今、「どのように考えどう行動しようとしているのだろう」

これは、なんとなくでもわかると思います。

 

では、

あのとき「どのように考え、どう行動しようとしていたのだろう」

これは、どうでしょうか。

 

あの時のことを思い返すと、このような気持ちだったのだろう…。

これとはちょっと違います。

 

 

「自分を客観視して冷静に判断する力」をメタ認知能力といいます。

 

私たちの認知(とらえ方)の特徴は

「物事を客観的に解釈しているつもりでも、考えや感じ方に影響を受けた解釈をしている。」

 

それを考慮して、 

・私はこのように認知した(こう考え、こう行動しようとした)

・ほかの認知(とらえ方)はできなかっただろうか?

・本当にその認知(とらえ方)でよかったのだろうか?

 

こうやって、起こった出来事を客観的に振り返ることを助ける力です。

 

 

最近、話題に上がることの多くなった「ハラスメント」は、

この能力が育っていないのか衰えてしまったのか…

 

自分を客観的に振り返ることができないために起こっていることが多いのです。

 

 

相手に対しての要求や要望は、相手に知ってほしいことでもあります。

それが、知っておいてほしいことになり、「教えたい(わからせたい)」という気持ちに変化することがあります。

 

「教えたい・指導したい」という気持ちは、相手の成長を望んでいるからこそ湧き出てきます。

でも、良くも悪くも、その気持ちが強くなりすぎてしまうと、

・相手のできていないことへのダメ出しが多くなり

・相手の人間性を変えたくなる

 

これが、多くのハラスメントをしている人の心理状態です。

 

 

メタ認知能力は、自分の思考について考えるために「自分に質問し自分で答える」ことで高まります。

 

「なぜ感情的になってしまったのか?」という自問に対して、

「だって、あの人が…」という自答が湧き出て堂々巡りをしてしまう。

これは、メタ認知能力を使えていない自問自答です。

 

「何が起こっていると考え、どう行動しようとしたのか?」という自問に対して、

「私はこう考え、こう行動しようとした」と客観的に答える。

これが、メタ認知能力を使った自問自答です

 

 

 

私たちの脳には、「ワーキングメモリー」と呼ばれる短期的な記憶や情報処理をするための機能が備わっています。

 

・直前の会話の内容を覚えておく

・質問されたことを覚えておいて、答えを考える

 

これができるのは、ワーキングメモリーが働いているからです。

 

ワーキングメモリーが、キャパオーバーを起こすと、コミュニケーションに悪い影響が出だします。

 

もしも

・直前の会話の内容を忘れやすくなった

・何を質問されたのかわからないような返答をしてしまう

このようなことが増えてきたときは、ワーキングメモリーがキャパオーバーを起こしているのかも…

 

しっかりと、脳を休めて、元気な脳を取り戻しておきましょう。

 

脳は、目からの情報の処理に、90%以上の機能を使っていると言われています。

生活に浸透した、スマホやパソコンなどの電子機器は、目を酷使します。

 

それも、ワーキングメモリーを消費してしまう一つの要因です。

便利な電子機器を上手に使いこなすためにも、しっかりと目を休める時間も確保しておきましょう。

 

(星野伸明)

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