このレポートは、「学びの時間」の中で行ったスーパーバイズの内容の一部をまとめたものです。
(「学びの時間」とは、NPO法人クリオネの家が会員向けに行っている勉強会です。)
行動できない理由が「怖い」のとき
思春期前の子どもたちは、思考の中に「今と過去」しかありません。
そのため、
- 後のことを考えることができず今の感情だけで行動する
- マネすることはできるが自分で考えを生み出すことができない
このような傾向がみられます。
また、経験の無いことに遭遇すると、動物的な危機回避と同じ反応をすることがあります。
(動物的な危機回避:fight 闘う/ flight 逃げる/ frieze 固まる)
これは、過去の経験と現時点で目の前にある現実で物事の判断をすることしかできないからです。
それが、思春期ごろから少しずつ変化していきます。
見えないものを想像する力が芽生えだし、思考の中に「未来」が入ってくるようになります。
そのため、
- 相手の心の内を想像するようになる
- 見られる自分を意識するようになる
- 未来をシミュレーションするようになる
このとき、夢や希望を膨らませるのと同じように、不安が膨らみやすくなります。
そして、不安を鎮めるために、誰かといることを選択することが増えだします。
不安は、未来を見ている人にしか湧き起こらない感情です。
未来にプレッシャーや懸念を感じる何かを想像して、シミュレーションを重ねてみても、結果はどうなるかわからない。
こんなときほど、不安は大きく膨らんで押しつぶされそうな気持になってしまいます。
こんな時に必要なのは、
- 人は変わっていくという前提で考えること。
人は変わらないという前提に立つと、過去の経験と目の前の現実で物事を判断しなくてはならなくなります。
これは、思春期前の思考と同じです。
そのため、動物的な危機回避しかできなくなってしまいます。
しかし、経験の無いことは、乗り越え方もわからない可能性の高いことでもあります。
そんなときは、一緒に考えてくれる人がいるだけで、不安感が和らぐことがあります。
代わりにやってあげたり、避けさせてあげる方が、簡単に感じることもありますが、最終的に乗り越えていくのはその人にしかできないことです。
人を育てるという視点に立って、関わり方を考えてみましょう。
そんなときに役立つ先人(山本五十六)の言葉です。
ご参考まで。
やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。